名古屋工業大学における研究活動上の不正行為に係る調査に関する取扱規程

 

(平成25年4月24日規程第2号)


 (趣旨)
第1条 この規程は,名古屋工業大学(以下「本学」という。)における研究において,不正行為が疑われる場合の調査の手続き等に関し,必要な事項を定めるものとする。
 (定義)
第2条 この規程において「役職員等」とは,次に掲げる者をいう。
 一 役員及び職員
 二 学部学生,大学院学生,研究生,科目等履修生,聴講生その他本学において修学又は研究に従事する者
2 この規程において「不正行為」とは,本学の役職員等又は本学の役職員等であった者が,研究活動(修学上行われる論文作成を含む。)又はその成果の発表の過程等において行った次に掲げる行為をいう。ただし,故意により行われたものに限る。
 一 ねつ造 データ,研究結果等を偽造して,これを記録し,又は報告若しくは論文等に利用する行為
 二 改ざん 研究資料・機器・過程を意図的に変更する操作を行い,これにより変更・変造したデータ,結果等を用いて研究の報告,論文等を作成し,又は発表する行為
 三 盗用 他人のアイデア,研究過程,研究成果,論文又は用語を適切に引用せず,又は適切な表示をせずに使用する行為
 四 前3号に掲げる行為の証拠隠滅又は立証妨害
 五 その他研究者倫理に背馳し,研究者コミュニティーの正常な科学的コミュニケーションを妨げる行為
 (不正行為に対する通報)
第3条 何人も,不正行為の疑いを発見したときは,名を明かすことを原則として,電話,FAX,電子メール,書面又は面談により,本学の役職員等のうち不正行為が疑われる研究者等(以下「被通報者」という。)の不正行為の態様等を通報することができる。ただし,通報者は,その後の手続きにおける氏名の秘匿などを希望することができる。
2 前項の通報には,原則として,次の各号に定める事項を明示しなければならない。
 一 研究活動上の不正行為を行ったとする役職員等又はグループ等の氏名又は名称
 二 研究活動上の不正行為の具体的内容
 三 行為を不正とする科学的合理的理由
3 不正行為の通報窓口は監査室とし,監査室は,第1項の通報を受けた場合はその内容を速やかに研究支援課に連絡するものとする。
4 前項に定めるもののほか,国立大学法人名古屋工業大学における公益通報者の保護等に関する規程(2022年5月25日規程第2号。以下この項において「公益通報者保護規程」という。)第5条に規定する通報窓口においても受付けを行うものとする。この場合において,当該通報窓口は,公益通報者保護規程第7条第5項の規定に基づき,監査室に事案を移送するものとする。 
5 研究支援課は,前項の連絡を受けた場合は,学長が指名する副学長(以下「担当副学長」という。)に報告の上,通報内容が明らかに事実でないもの,明らかに研究活動上の行為に関する通報でないもの及び通報内容の意味が不明のものと担当副学長が判断したもの以外は受け付けるものとする。なお,事実確認のため,通報者に関連資料の提出を求めることができる。
6 担当副学長は,通報を受け付けたときは,速やかに学長に報告する。
7 通報を受け付けないことを決定した場合は,その旨,理由を付して通報者に通知する。
 (予備調査)
第4条 学長は,前条第5項の通報を受けて不正行為が疑われる情報を知ったときは,事実を確認するために,担当副学長に予備調査を命ずる。
2 担当副学長は,予備調査を行うに当たり,予備調査チームを設置する。
3 予備調査チームにおいては,通報者からの通報に基づき,不正行為の可能性の有無について調査する。
4 予備調査チームは,前項の調査に当たり,被通報者からの事情聴取を行うことができる。
5 担当副学長は,予備調査の結果を学長に報告するものとする。
6 学長は,更に本格的な調査(以下「本調査」という。)を行わないことを決定したときは,理由を付してその旨を通報者に通知する。
7 学長は,前項に定める通知を受けた通報者から当該調査の結果について異議の申出があったときは,必要に応じて予備調査について,再調査を求めることができる。
 (不正行為調査委員会の設置)
第5条 学長は,前条第5項の報告を受けた後,必要と認めたときは,本調査を行うため,速やかに名古屋工 業大学不正行為調査委員会(以下「調査委員会」という。)を設置する。
2 調査委員会は,次の各号に掲げる者をもって組織する。
一 学長が指名する副学長
二 学長の指名する本学の役員又は職員以外の者で法律の知識を有する者
三 その他学長が必要と認める者 若干名
3 調査委員会の委員長は,前項第1号により指名された者から学長が指名する。
4 学長は,本調査を行うことを決定したときは,その旨を通報者及び被通報者に通知する(被通報者にあっては,調査の対象となる事実の要旨を併せて通知する。)。この場合において,被通報者に他機関に所属する者があるときは,当該所属機関の長にも通知するものとする。
5 前項に定めるもののほか,学長は,当該事案に係る研究が他機関からの資金配分を受けて行われたものであるときは,当該資金配分を受けた機関(以下「資金配分機関」という。)に通知する。
 (本調査の実施)
第6条 調査委員会は,次の各号の調査を実施するものとする。
 一 関係者からの事情聴取
 二 関係資料等の調査
 三 その他当該事案の解決に必要となる事項の調査
2 本調査においては,被通報者に,書面又は口頭により弁明の機会を与えなければならない。
 (調査への協力等)
第7条 予備調査チーム及び調査委員会は,調査等の実施に関し,通報者,被通報者その他関係者に対し,必要な協力等を求めることができる。
2 前項の協力を求められた通報者,被通報者その他関係者は,誠実にこれに協力等をし,及び正当な理由なくこれを拒絶することができない。
 (本調査結果の報告)
第8条 調査委員会は,本調査の結果を学長に報告し,学長は,調査結果を速やかに通報者及び被通報者(被通報者以外で研究活動上の不正行為に関与したと認定された者を含む。以下同じ。)に通知するものとする。この場合において,被通報者に他機関に所属する者があるときは,当該所属機関の長にも通知するものとする。
2 前項に定めるもののほか,学長は,当該事案に係る研究が他機関からの資金配分を受けて行われたものであるときは,当該資金配分機関に対しても当該調査の結果を通知する。
 (不服申立て)
第9条 本調査の結果,研究活動上の不正行為が行われたと認定された被通報者は,前条第1項の通知を受けてから30日以内に,学長に対し,不服申立てをすることができる。
2 本調査の結果,当該通報等が悪意(被通報者を陥れるため,あるいは被通報者が行う研究を妨害するため等,被通報者に何らかの損害を与えることや被通報者が所属する機関若しくは 組織等に不利益を与えることを目的とする意志。以下同じ。)かつ虚偽によるものと認定された通報者(被通報者の不服申立てにより次条の規定による再調査の結果,悪意に基づく通報等と認定された者を含む。)は,前条第1項の通知を受けてから30日以内に,学長に対し,不服申立てをすることができる。
3 前2項の場合において,当該不服申立てをする者は,前条第1項の通知を受けてから30日の期間内であっても,同一理由による不服申立てを繰り返すことはできない。
4 学長は,第1項の不服申立てを受けたときは,その旨を通報者に通知し,及び当該事案に係る研究が他機関からの配分を受けて行われたものであるときは,当該資金配分機関に対してもその旨を通知する。
5 学長は,第2項の不服申立てを受けたときは,被通報者に通知し,及び通報者が他機関に所属する者であるときは当該他機関の長にも通知する。
(不服申立ての審査及び再調査)
第10条 学長は,前条第1項又は第2項の不服申立てを受けたときは,調査委員会に不服申立ての審査を求める。ただし,不服申立ての趣旨が,調査委員会の構成等,その公正性に関わるものである場合は,学長は必要に応じ,当該調査委員会の委員を交代させ,又は新たに調査委員会を設置するものとする。
2 前項の審査においては,調査委員会は,不服申立ての趣旨,理由等を勘案し,当該事案の再調査を行うか否かを速やかに審査し,その結果を学長に報告する。
3 学長は,前項の報告を受け,被通報者,通報者,前条4項及び5項で通知した者に前項の審査の結果を通知する。この場合において,再調査を行う決定を行ったときは,被通報者及び通報者に対し,本調査結果を覆すに足る資料の提出その他当該事案の速やかな解決に必要な協力を求めるものとし,被通報者及び通報者が必要な協力を行わないときは,当該調査を行わず,又は打ち切ることができる。
4 調査委員会が再調査を開始した場合は,当該不服申立てを受けた日から概ね50日(前条第2項の不服申立の場合にあっては30日)以内に,調査結果を学長に報告する。
5 第8条の規程は,前項の調査結果の通知に準用する。この場合において同条第1項の規程中「本調査」とあるのは「再調査」と読み替えるものとする。
(調査中における一時的措置)
第11条 学長は,本調査を行うことが決まった後,調査委員会の調査結果の報告を受けるまでの間,通報された研究に係る資金の一部又は全部について使用を停止することができる。
(措置)
第12条 学長は,不正行為の内容に応じ国立大学法人名古屋工業大学職員就業規則(平成16年4月1日制定定。以下「就業規則」という。)等に基づく懲戒処分,刑事告発その他の必要な措置を講ずるものとする。
2 学長は,第8条第1項の報告により不正行為が行われていたとの認定があった場合は,不正行為への関与が認定された者及び不正行為が認定された論文等の内容について責任を負う者として認定された著者に対し,直ちに当該不正行為に係る資金の使用の中止を命ずることができる。
3 学長は,第8条第1項の報告により不正行為が行われていなかったとの認定があった場合は,前条の規程による執行の停止その他当該通報等に基づき講じた一切の措置を解除し,及び当該事案において不正行為が行われていないと認定された者の名誉を回復する措置及び不利益が生じないための措置を講ずるものとする。
4 前3項の場合において,学長は,調査委員会の調査結果について,第9条第1項又は第2項の不服申立てがあったときは,前3項により講じた措置を保留する等必要な措置を講ずるものとする。
5 前項の措置を講じた場合において,学長は,第10条第4項の規定による調査結果の報告を受けたときは,当該報告に基づき,第1項から第3項に定める措置を講ずるものとする。
 (守秘義務)
第13条 予備調査チーム及び調査委員会の構成員その他この規程に基づき不正行為の調査等に携わった者(以下「通報対応業務従事者」という。)は,その職務に関し知り得た秘密を漏らしてはならない。その職を退いた後も,同様とする。
 (範囲外共有の禁止)
第14条 通報者及び調査協力者から得た情報は,通報者及び調査協力者が予め明示的に同意しない限り,当該通報に対応する通報対応業務従事者以外に共有してはならない。
2 学長は,範囲外共有(通報者を特定させる事項を必要最小限の範囲を超えて共有することをいう。)が行われた場合には,通報者に対して適切な救済及び回復のための措置を講じるとともに,当該行為を行った本学役職員等に対して,国立大学法人名古屋工業大学職員就業規則(平成16年4月1日制定。以下「就業規則」という。)その他関係諸規程に従って,懲戒処分その他適切な措置を講じなければならない。
 (悪意かつ虚偽による通報への対応)
第15条 学長は,予備調査又は本調査によって,当該通報が悪意かつ虚偽によるものと認められ,通報者が他機関に所属する場合は他機関の長にも調査結果を通知する。なお,当該通報を悪意かつ虚偽によるものと認める過程においては,通報者に弁明の機会を与えなければならない。
2 学長は,悪意かつ虚偽による通報者に対し,懲戒処分,刑事告発その他の等を含む必要な措置を講ずることができる。
 (匿名の通報者への対応)
第16条 第3条第6項,第4条第6項,第7条第1項及び第2項,第8条第1項,第9条第4項,第10条第3項並びに第15条第2項の規定する通報者への通知は,通報者が匿名の場合,これを行わない。
 (通報者及び調査協力者の保護)
第17条 学長並びに本学の役員職員等は,通報をしたこと,通報に係る事実関係の調査に協力したこと等を理由として,通報者及び調査協力者に対して解雇その他いかなる不利益な取扱いも行ってはならない。
2 学長並びに通報者及び調査協力者が所属する部署の長は,通報をしたこと,通報に係る事実関係の調査に協力したこと等を理由として,通報者及び調査協力者の職場環境が悪化することのないように,適切な措置を講じなければならない。
3 第1項に定める不利益な取扱いが行われた場合には,学長は,当該不利益な取扱いを受けた通報者及び調査協力者に対して適切な救済及び回復のための措置を講じるとともに,当該不利益な取扱いを行った本学役職員等に対して,就業規則その他関係諸規程に従って,懲戒処分その他適切な措置を講じなければならない。
(告発者及び調査協力者の探索の禁止)
第18条 本学の役職員等は,通報者及び調査協力者を特定しようとする行為(以下「通報者等の探索」という。)を行ってはならない。
2 学長は,通報者等の探索が行われた場合には,当該行為を行った本学の役職員等に対して,就業規則その他関係規程に従って,懲戒処分その他適切な措置を講じなければならない。
(事務)
第19条 この規程に関する事務は,関係課等の協力を得て研究支援課において処理する。
 (雑則)
第20条 この規程に定めるもののほか,研究活動上の不正行為に係る調査等に関し必要な事項は,別に定める。
   附 則
 この規程は,平成25年4月24日から施行する。
   附 則(平成26年3月25日規程第28号)
 この規程は,平成26年4月1日から施行する。
   附 則(2022年5月25日規程第3号)
 この規程は,2022年6月1日から施行する。