国立大学法人名古屋工業大学における公益通報者の保護等に関する規程

                                                                                                                                     (2022年5月25日規程第2号)


   第1章 総則
 (目的)
第1条 この規程は,公益通報者保護法(平成16年法律第122号)に基づき,国立大学法人名古屋工業大学(以下「本学」という。)における公益通報及び公益通報に係る相談(以下「通報等」という。)の対応に関し必要な事項を定めることにより,法令等違反行為の早期発見と是正を図り,もって,法令遵守の強化に資するとともに,公益通報者及び相談者(以下「通報者等」という。)を保護することを目的とする。
 (定義)
第2条 この規程における用語の定義は,次の各号に定めるところによる。
 一 法令等違反行為 公益通報者保護法の通報対象法律,その他の法令,本学の規則等に違反する行為をいう。
 二 通報対象行為 法令等違反行為又はそのおそれのある行為をいう。
 三 公益通報 第6条に定める利用対象者が,不正の利益を得る目的,他人に損害を加える目的その他の不正の目的でなく,本学又は本学の業務に従事する役員若しくは職員について通報対象事実が生じ,又はまさに生じようとしている旨を通報することをいう。
 四 公益通報に係る相談 公益通報の処理の仕組み,通報対象行為に該当するかの確認等の相談をいう。
 五 通報窓口 第5条第1項に定める通報を受け付けるための内部窓口及び外部窓口の総称をいう。
 六 対象事案 通報窓口に対して通報が行われた通報対象行為をいう。
 七 公益通報対応業務従事者 この規程に定める業務に携わるすべての者をいう。
 八 範囲外共有 公益通報者を特定させる事項を必要最小限の範囲を超えて共有することをいう。
 九 被通報者 通報対象行為を行った,行っている又は行おうとしているとして通報された者をいう。
 (通報対象行為の範囲)
第3条 この規程において公益通報として受理し調査等を行う通報対象行為は,次の各号に掲げる本学の規程等により取扱いが定められている行為以外のものとする。
 一 名古屋工業大学研究活動上の不正行為の防止及び対応に関する規程(平成27年3月27日規程第37号)
 二 国立大学法人名古屋工業大学における研究費等の取扱いに関する規程(平成27年3月27日規程第38号)
 三 国立大学法人名古屋工業大学ハラスメントの防止に関する規程(平成16年4月1日制定)
 四 その他不正行為又はその恐れのある行為への取扱いの定めがある規程等

   第2章 通報等の体制
 (総括責任者)
第4条 本学に,公益通報に係る業務を総括するため,総括責任者を置く。
2 総括責任者は,学長が指名する理事又は副理事をもって充てる。
 (通報窓口)
第5条 通報窓口は,学外にあっては本学と契約する法律事務所(以下「外部窓口」という。)に,学内にあっては総務課(以下「内部窓口」という。)に設置する。ただし,総務課と利益相反関係にある通報等の内部窓口は人事課に設置する。
2 通報窓口に担当者を置き,外部窓口にあっては法律事務所の弁護士を,内部窓口にあっては総務課及び人事課に所属する事務職員をもって充てる。
 (利用対象者)
第6条 通報窓口を利用できる者は,次の各号に掲げる者とする。
 一 本学と雇用関係にある者及び派遣契約その他の契約に基づき本学の業務に従事する者
 二 本学の役員 
 三 第1号に該当していた者であって,かつ,本学退職後又は本学での業務従事後1年以内の者
 (通報等の受付)
第7条 通報者等は,原則として自らの氏名及び連絡先を明らかにした上で,所定の通報・相談受付シートをFAX,電子メール又は郵送により通報窓口に提出することにより通報等を行うことができる。ただし,匿名により通報等が行われた場合には,通報窓口は,当該通報等を信ずるに足りる相当の理由,証拠等があるときに限り,これを受け付けることができる。
2 外部窓口への通報等において,通報者等は,通報等を行った後の手続きにおける氏名及び連絡先の秘匿を希望することができる。
3 通報窓口は,公益通報に係る相談があった場合において,当該公益通報に係る相談が公益通報に当たると判断し,かつ,当該相談者が公益通報とすることを希望するときは,これを公益通報として受け付けるものとする。
4 通報窓口は,第1項の規定による通報・相談受付シートの提出があったとき,及び前項の規定により公益通報として受け付けたときは,直ちに総括責任者にその内容を報告するものとする。
5 通報窓口は,通報等の内容が,第3条各号に掲げる規程等においてその対応が規定されている行為であるときは,総括責任者と協議の上,署担当部に事案を移送するものとし,当該通報者等に移送した旨を通知しなければならない。ただし,当該通報者等が匿名の場合には,この通知は行わないものとする。
6 総括責任者は,第4項に規定する報告を受けたときは,直ちに学長,当該対象事案を担当する理事及び監事にその内容を報告するものとする。
7 新聞等の報道機関及びインターネット上の投稿等により,法令等違反行為の疑いが指摘された場合には,総括責任者は,これを匿名の通報等に準じて取り扱うことができる。
8 利用対象者以外の者からの通報等に対しては,本規程を準用して対応するものとする。
 (公益通報受理)
第8条 総括責任者は,前条第4項に規定する報告を受けたときは,正当な理由がある場合を除き,当該通報等を公益通報として受理するものとする。
 (調査)
第9条 総括責任者は,前条により受理することとした公益通報について,対象事案に関連する部署(以下「関連部署」という。)の構成員その他必要な職員等からなる調査委員会(以下「調査委員会」という。)を設置し,法令等違反行為の有無について調査を行うものとする。
2 調査委員会は,総括責任者が調査を決定した日から起算して30日以内に調査を開始するものとする。
3 調査委員会は,調査を開始した日から起算して150日以内に,法令等違反行為が行われたか否か,法令等違反行為と認定された場合にはその内容,法令等違反行為に関与した者とその関与度合,その他必要な事項をまとめた調査結果報告を作成する。
4 調査委員会は,前項に掲げる期間に調査結果報告を作成することができない合理的な理由がある場合には,その理由及び調査結果報告作成の予定日を付して総括責任者に申し出て,その承認を得るものとする。
5 調査委員会は,法令等違反行為が行われなかったと認定される場合において,調査を通じて不正の目的に基づく通報等であると判断したときは,必要な事項をまとめた調査結果報告を併せて作成する。
6 調査委員会は,第3項及び第5項に定める調査結果報告の作成が完了したときは,直ちに総括責任者に報告するものとする。
7 調査委員会に関し必要な事項は,別に定める。
 (是正措置等)
第10条 総括責任者は,前条第6項に規定する報告を受けたときは,速やかに当該調査結果を学長に報告し,学長は,法令等違反行為が明らかになった場合には,役員会の議を経て速やかに是正措置及び再発防止措置(以下「是正措置等」という。)を講じなければならない。
2 学長は,法令等違反行為の是正措置等が適切に機能しているかを検証し,適切に機能していないことが判明した場合には,追加の是正措置等を講じなければならない。
 (処分等)
第11条 学長は,調査の結果,法令等違反行為が明らかになった場合には,当該法令等違反行為に関与した本学の役員及び職員(以下「本学役職員」という)に対して,法令,国立大学法人名古屋工業大学職員就業規則(平成16年4月1日制定。以下「就業規則」という。)その他関係諸規程に従って,適切な処分等を科さなければならない。
 (利益相反の排除)
第12条 本学役職員は,自らが関係者となっている対象事案の調査及び是正措置等の検討に関与してはならない。
2 本学役職員は,対象事案の調査委員会の委員となる時点又は是正措置等の検討に関与する時点で,自らが関係者となっていないかを確認するものとし,自らが関係者となっている場合には総括責任者に申告しなければならない。
3 第2項の申告を受けた総括責任者は,当該本学役職員の対象事案への対応の関与について,その可否を判断するものとする。

   第3章 通報等に関わる当事者の責務等
 (通報者等及び調査協力者の保護)
第13条 本学役職員は,通報等を行ったこと,公益通報に係る事実関係の調査に協力したこと等を理由として,通報者等及び調査協力者に対して解雇その他いかなる不利益な取扱いも行ってはならない。
2 学長並びに通報者等及び調査協力者が所属する部署の長は,通報等を行ったこと,公益通報に係る事実関係の調査に協力したこと等を理由として,通報者等及び調査協力者の職場環境が悪化することのないように,適切な措置を講じなければならない。
3 第1項に定める不利益な取扱いが行われた場合には,学長は,当該不利益な取扱いを受けた通報者等及び調査協力者に対して適切な救済及び回復のための措置を講じるとともに,当該不利益な取扱いを行った本学役職員に対して,就業規則その他関係諸規程に従って,懲戒処分その他適切な措置を講じなければならない。
 (被通報者の保護)
第14条 本学役職員は,単に通報等がされたことのみをもって,当該被通報者に対して解雇その他いかなる不利益な取扱いも行ってはならない。
2 学長は,相当な理由なしに,第1項に定める不利益な取扱いが行われた場合には,当該不利益な取扱いを行った本学役職員に対して,就業規則その他関係諸規程に従って,懲戒処分その他適切な措置を講じることができる。
 (協力義務)
第15条 本学役職員及び関連部署は,第9条に定める調査に際して,総括責任者及び調査委員会から協力を求められた場合には,調査に協力しなければならず,また,調査を妨害してはならない。
 (秘密保持義務)
第16条 公益通報対応業務従事者は,業務上知ることのできた秘密を漏らしてはならない。公益通報対応業務従事者でなくなった後も同様とする。 
 (範囲外共有の禁止)
第17条 通報者等及び調査協力者から得た情報は,通報者等及び調査協力者が予め明示的に同意しない限り,当該通報等に対応する公益通報対応業務従事者以外に共有してはならない。
2 学長は,範囲外共有が行われた場合には,通報者等に対して適切な救済及び回復のための措置を講じるとともに,当該行為を行った本学役職員に対して,就業規則その他関係諸規程に従って,懲戒処分その他適切な措置を講じなければならない。
 (通報者等の探索の禁止)
第18条 本学役職員は,通報者等及び調査協力者を特定しようとする行為(以下「通報者等の探索」という。)を行ってはならない。
2 学長は,通報者等の探索が行われた場合には,当該行為を行った本学役職員に対して,就業規則その他関係諸規程に従って,懲戒処分その他適切な措置を講じなければならない。
 (通知等)
第19条 通報窓口担当者は,通報・相談受付シートの提出が書留郵便その他配達を証明できる郵便によらない場合など,通報者等が当該通報等の到達を確認できない場合には,通報者等に対して,通報等を受け付けた旨を速やかに通知しなければならない。
2 通報窓口担当者は,公益通報として受理するか否かを,当該通報・相談受付シートを受領した日から起算して20日以内に当該通報者に対して通知しなければならない。この場合において,不受理としたときは,その理由を付して通知するものとする。
3 通報窓口担当者は,通報者に対して,当該通報に係る法令等違反行為に関する調査結果及び是正措置等について,被通報者及び調査協力者の信用,名誉,プライバシー等に配慮しつつ,速やかに通知しなければならない。
4 通報窓口担当者は,対象事案に関する調査完了後,通報者に対して,第13条第1項により禁止される不利益な取扱いを受けているか否かを確認しなければならない。
5 第1項から第4項までの通知等について,当該通報者等が匿名の場合は行わないものとする。

   第4章 通報者等の責務等
 (不正目的の通報等の禁止)
第20条 通報窓口を利用する者は,虚偽の通報等や,他人を誹謗中傷する目的の通報等その他の不正の目的の通報等を行ってはならない。
2 学長は,不正目的の通報等であったことが判明した場合には,当該通報者等に対して,就業規則その他関係諸規程に従って,懲戒処分その他適切な措置を講じることができる。

   第5章 その他
 (運用実績の報告)
第21条 総括責任者は,個人情報の保護等に十分配慮した上で,通報窓口に寄せられた通報等に関する運用実績について,内部統制委員会にて適宜報告するものとする。
 (事務)
第22条 この規程に関する事務は,関係課等の協力を得て総務課及び人事課において処理する。
 (雑則)
第23条 この規程に定めるもののほか,公益通報者の保護等に関し必要な事項は,役員会の議を経て学長が決定する。

   附 則
1 この規程は,2022年6月1日から施行する。
2 国立大学法人名古屋工業大学公益通報者保護規程(平成18年2月21日制定)は,廃止する。