名古屋工業大学研究活動上の不正行為の防止及び対応に関する規程

 

(平成27年3月27日規程第37号)


   第1章 総則
 (趣旨)
第1条 この規程は,名古屋工業大学(以下「本学」という。)における研究活動上の不正行為(以下「不正行為」という。)の防止及び不正行為が生じた場合における適正な対応に関し,「名古屋工業大学研究者倫理に関するガイドライン」(平成18年2月10日制定)及びその他の関係法令通知等により取り扱うもののほか,必要な事項を定める。
 (定義)
第2条 この規程において「不正行為」とは,次に掲げる行為をいう。
 一 故意又は研究者としてわきまえるべき基本的な注意義務を著しく怠ったことによる,捏造,改ざん,又は盗用
 二 前号以外の研究活動上の不適切な行為であって,科学者の行動規範及び社会通念に照らして研究者倫理からの逸脱の程度が甚だしいもの
2 この規程において「研究者等」とは,本学に雇用されて研究活動に従事している者及び本学の施設や設備を利用して研究に携わる者をいう。

   第2章 不正防止のための体制
 (最高管理責任者)
第3条 研究倫理の向上,不正行為の防止等に関し,本学全体を統括する権限と責任を有する者として,最高管理責任者を置き,学長をもって充てる。
2 最高管理責任者は,公正な研究活動を推進するために適切な措置を講ずるものとする。
 (研究倫理教育責任者)
第4条 学長は,研究倫理教育について実質的な責任と権限を持つ者として研究倫理教育責任者を置き,学長が指名する理事又は副学長をもって充てる。
2 研究倫理教育責任者は,研究者等に対し,研究者倫理に関する教育を定期的に行わなければならない。
3 前項に定める研究倫理に関する教育の企画等については,研究企画院において行うものとする。
 (研究公正委員会の設置)
第5条 本学に,研究者等による不正行為の調査等に関する事項を審議するため,名古屋工業大学研究公正委員会(以下「公正委員会」という。)を置く。
2 公正委員会は,次の各号に掲げる者をもって組織する。
 一 学長が指名する理事
 二 学長が指名する副学長
 三 領域長(グローバル領域長は除く。)
 四 その他学長が必要と認める者 若干名
3 前項第4号の委員は,学長が任命する。
4 第2項第4号の委員の任期は,1年とし,再任を妨げない。ただし,委員が任期満了前に欠けた場合の後任の委員の任期は,前任者の残任期間とする。
5 公正委員会に委員長を置き,第2項第1号に掲げる者をもって充てる。
6 委員長は,公正委員会の業務を統括する。
7 公正委員会に副委員長を置き,第2項第2号から第4号の委員のうちから委員長が任命する。
8 副委員長は,委員長を補佐し,委員長に事故があるときは,その職務を代行する。

   第3章 告発の受付
 (告発の受付窓口)
第6条 告発又は相談(以下「告発等」という。)への迅速かつ適切な対応を行うため,監査室に受付窓口を置くものとする。
2 前項に定めるもののほか,国立大学法人名古屋工業大学における公益通報者の保護等に関する規程(2022年5月25日規程第2号。以下この項において「公益通報者保護規程」という。)第5条に規定する通報窓口においても受付けを行うものとする。この場合において,当該通報窓口は,公益通報者保護規程第7条第5項の規定に基づき,監査室に事案を移送するものとする。
 (告発の受付体制)
第7条 不正行為の疑いがあると思料する者は,何人も,書面,FAX,電子メール,電話又は面談により,告発窓口に対して告発を行うことができる。
2 告発は,原則として,顕名により,不正行為を行ったとする研究者又は研究グループ等の氏名又は名称,不正行為の態様その他事案の内容が明示され,かつ,不正とする科学的な合理性のある理由が示されていなければならない。
3 監査室は,匿名による告発について,必要と認める場合には,委員長と協議の上,これを受け付けることができる。
4 監査室は,告発を受け付けたときは,速やかに学長,委員長及び研究支援課に報告するものとする。
5 監査室は,告発が郵便による場合など,当該告発が受け付けられたかどうかについて告発者が知り得ない場合には,告発が匿名による場合を除き,告発者に受け付けた旨を通知するものとする。
6 新聞等の報道機関,研究者コミュニティ又はインターネット等により,不正行為の疑いが指摘された場合(不正行為を行ったとする研究者又は研究グループ等の氏名又は名称,不正行為の態様その他事案の内容が明示され,かつ,不正とする科学的な合理性のある理由が示されている場合に限る。)は,委員長は,これを匿名の告発に準じて取り扱うことができる。
 (告発の相談)
第8条 不正行為の疑いがあると思料する者で,告発の是非や手続について疑問がある者は,告発窓口に対して相談をすることができる。
2 告発の意思を明示しない相談があったときは,監査室は,その内容を確認して相当の理由があると認めたときは,相談者に対して告発の意思の有無を確認するものとする。
3 相談の内容が,不正行為が行われようとしている,又は不正行為を求められている等であるときは,監査室は,学長及び委員長に報告するものとする。
4 前項の報告があったときは,学長は,委員長とその内容を確認し,相当の理由があると認めたときは,その報告内容に関係する者に対して警告を行うものとする。
 (告発窓口の職員の義務)
第9条 告発の受付に当たっては,監査室の職員は,告発者の秘密の遵守その他告発者の保護を徹底しなければならない。
2 監査室の職員は,告発を受け付けるに際し,面談による場合は個室にて実施し,書面,FAX,電子メール,電話等による場合はその内容を他の者が同時及び事後に見聞できないような措置を講ずるなど,適切な方法で実施しなければならない。
3 前2項の規定は,告発の相談についても準用する。

   第4章 関係者の取扱い
 (秘密保持義務)
第10条 この規程に定める業務に携わるすべての者(以下「告発対応業務従事者」という。)は,業務上知ることのできた秘密を漏らしてはならない。その職を退いた後も,同様とする。
2 学長及び委員長は,告発者,被告発者,告発内容,調査内容及び調査経過について,調査結果の公表に至るまで,告発者及び被告発者の意に反して外部に漏洩しないよう,これらの秘密の保持を徹底しなければならない。
3 学長は,当該告発に係る事務が外部に漏洩した場合は,告発者及び被告発者の了解を得て,調査中にかかわらず,調査事案について公に説明することができる。ただし,告発者又は被告発者の責に帰すべき事由により漏洩したときは,当該者の了解は不要とする。
4 学長,委員長及びその他関係者は,告発者,被告発者,調査協力者又は関係者に連絡又は通知をするときは,告発者,被告発者,調査協力者,関係者等の人権,名誉,プライバシー等を侵害することのないように,配慮しなければならない。
 (範囲外共有の禁止)
第10条の2 告発者及び調査協力者から得た情報は,告発者及び調査協力者が予め明示的に同意しない限り,当該告発に対応する告発対応業務従事者以外に共有してはならない。
2 学長は,範囲外共有(告発者を特定させる事項を必要最小限の範囲を超えて共有することをいう。)が行われた場合には,告発者に対して適切な救済及び回復のための措置を講じるとともに,当該行為を行った本学に所属するすべての者に対して,国立大学法人名古屋工業大学職員就業規則(平成16年4月1日制定。以下「就業規則」という。)その他関係諸規程に従って,懲戒処分その他適切な措置を講じなければならない。
 (告発者及び調査協力者の保護)
第11条 学長及び本学に所属するすべての者は,告発をしたこと,告発に係る事実関係の調査に協力したこと等を理由として,告発者及び調査協力者に対して解雇その他いかなる不利益な取扱いも行ってはならない。
2 学長並びに告発者及び調査協力者が所属する部署の長は,告発をしたこと,告発に係る事実関係の調査に協力したこと等を理由として,告発者及び調査協力者の職場環境が悪化することのないように,適切な措置を講じなければならない。
3 第1項に定める不利益な取扱いが行われた場合には,学長は,当該不利益な取扱いを受けた告発者及び調査協力者に対して適切な救済及び回復のための措置を講じるとともに,当該不利益な取扱いを行った本学に所属するすべての者に対して,就業規則その他関係諸規程に従って,懲戒処分その他適切な措置を講じなければならない。
 (告発者及び調査協力者の探索の禁止)
第11条の2 本学に所属するすべての者は,告発者及び調査協力者を特定しようとする行為(以下「告発者等の探索」という。)を行ってはならない。
2 学長は,告発者等の探索が行われた場合には,当該行為を行った本学に所属するすべての者に対して,就業規則その他関係諸規程に従って,懲戒処分その他適切な措置を講じなければならない。
 (被告発者の保護)
第12条 本学に所属するすべての者は,相当な理由なしに,単に告発がなされたことのみをもって,当該被告発者に対して不利益な取扱いをしてはならない。
2 学長は,相当な理由なしに,被告発者に対して不利益な取扱いを行った者がいた場合は,就業規則その他関係諸規程に従って,その者に対して処分を課すことができる。
3 学長は,相当な理由なしに,単に告発がなされたことのみをもって,当該被告発者に対して研究活動の全面的な禁止,解雇その他いかなる不利益な措置等を行ってはならない。
 (悪意に基づく告発)
第13条 何人も,悪意に基づく告発を行ってはならない。この規程において,悪意に基づく告発とは,被告発者を陥れるため又は被告発者の研究を妨害するため等,専ら被告発者に何らかの不利益を与えること又は被告発者が所属する組織等に不利益を与えることを目的とする告発をいう。
2 学長は,悪意に基づく告発であったことが判明した場合は,当該告発者の氏名の公表,懲戒処分,刑事告発その他必要な措置を講ずることができる。
3 学長は,前項の処分を講じた場合は,該当する資金配分機関及び関係省庁に対して,その措置の内容等を通知する。

   第5章 事案の調査
 (予備調査の実施)
第14条 第7条に基づく告発があった場合又は委員長がその他の理由により予備調査の必要を認めた場合は,委員長は予備調査チーム(以下「チーム」という。)を設置し,速やかに予備調査を実施しなければならない。
2 チームの委員は委員長が指名する。
3 チームは,必要に応じて,予備調査の対象者に対して関係資料その他予備調査を実施する上で必要な書類等の提出を求め又は関係者のヒアリングを行うことができる。
4 チームは,更に本格的な調査(以下「本調査」という。)の証拠となり得る研究資料等を保全する措置をとることができる。
 (予備調査の方法)
第15条 チームは,告発された行為が行われた可能性,告発の際に示された科学的な合理性のある理由の論理性,告発内容の本調査における調査可能性その他必要と認める事項について,予備調査を行う。
2 告発がなされる前に取り下げられた論文等に対してなされた告発についての予備調査を行う場合は,取り下げに至った経緯及び事情を含め,不正行為の問題として調査すべきものか否か調査し,判断するものとする。
 (本調査の決定等)
第16条 チームは,予備調査を開始した日から起算して30日以内に,予備調査結果を公正委員会に報告する。
2 公正委員会は,予備調査結果を踏まえ,協議の上,直ちに,本調査を行うか否かを決定する。
3 公正委員会は,本調査を行うか否かを決定したときは,速やかに,学長に報告をするものとする。
4 公正委員会は,本調査を実施することを決定したときは,告発者及び被告発者に対して本調査を行う旨を通知し,本調査への協力を求める。
5 公正委員会は,本調査を実施しないことを決定したときは,その理由を付して告発者に通知する。この場合において,資金配分機関や告発者の求めがあった場合に開示することができるよう,予備調査に係る資料等を保存するものとする。
6 公正委員会は,本調査を実施することを決定したときは,当該事案に係る研究費等の配分機関及び関係省庁に,本調査を行う旨を報告するものとする。
 (調査委員会の設置)
第17条 公正委員会は,本調査を実施することを決定したときは,同時に,その議決により名古屋工業大学不正行為調査委員会(以下「調査委員会」という。)を設置する。
2 調査委員会の委員は,次の各号に掲げる者とする。
 一 公正委員会の委員長又は委員長が指名した公正委員会の委員
 二 委員長が指名する科学研究について専門知識を有する有識者
 三 委員長が指名する法律の知識を有する外部有識者
3 調査委員会のすべての委員は,告発者又は被告発者と利害関係を有しない者とし,その過半数は,本学に属さない外部有識者でなければならない。
 (本調査の通知)
第18条 公正委員会は,調査委員会を設置したときは,調査委員会委員の氏名及び所属を告発者及び被告発者に通知する。
2 前項の通知を受けた告発者又は被告発者は,当該通知を受けた日から起算して7日以内に,書面により,公正委員会に対して調査委員会委員に関する異議を申し立てることができる。
3 公正委員会は,前項の異議申立てがあった場合は,当該異議申立ての内容を審査し,その内容が妥当であると判断したときは,当該異議申立てに係る調査委員会委員を交代させるとともに,その旨を告発者及び被告発者に通知する。
 (本調査の実施)
第19条 調査委員会は,本調査の実施の決定があった日から起算して30日以内に,本調査を開始するものとする。
2 調査委員会は,告発者及び被告発者に対し,直ちに,本調査を行うことを通知し,調査への協力を求めるものとする。
3 調査委員会は,告発において指摘された当該研究に係る研究資料等の精査,関係者のヒアリング等の方法により,本調査を行うものとする。
4 調査委員会は,被告発者による弁明の機会を設けなければならない。
5 調査委員会は,被告発者に対し,再実験等の方法によって再現性を示すことを求めることができる。また,被告発者から再実験等の申し出があり,調査委員会がその必要性を認める場合は,それに要する期間,機会,機器の使用等を保障するものとする。
6 告発者,被告発者その他当該告発に係る事案に関係する者は,調査が円滑に実施できるよう積極的に協力し,真実を忠実に述べるなど,調査委員会の本調査に誠実に協力しなければならない。
 (本調査の対象)
第20条 本調査の対象は,告発された事案に係る研究活動のほか,調査委員会の判断により,本調査に関連した被告発者の他の研究を含めることができる。
 (証拠の保全)
第21条 調査委員会は,本調査を実施するに当たって,告発された事案に係る研究活動に関して,証拠となる研究資料等その他関係書類を保全する措置をとるものとする。
2 告発された事案に係る研究活動が行われた研究機関が本学でないときは,調査委員会は,告発された事案に係る研究活動に関して,証拠となる研究資料等その他関係書類を保全する措置をとるよう,当該研究機関に依頼するものとする。
3 調査委員会は,前2項の措置に必要な場合を除き,被告発者の研究活動を制限してはならない。
 (本調査の中間報告)
第22条 調査委員会は,本調査の終了前であっても,告発された事案に係る研究活動の予算の配分又は措置をした配分機関等の求めに応じ,本調査の中間報告を当該資金配分機関等に提出するものとする。
 (調査における研究又は技術上の情報の保護)
第23条 調査委員会は,本調査に当たっては,調査対象における公表前のデータ,論文等の研究又は技術上秘密とすべき情報が,調査の遂行上必要な範囲外に漏洩することのないよう,十分に配慮するものとする。
 (不正行為の疑惑への説明責任)
第24条 調査委員会の本調査において,被告発者が告発された事案に係る研究活動に関する疑惑を晴らそうとする場合には,自己の責任において,当該研究活動が科学的に適正な方法及び手続にのっとって行われたこと,並びに論文等もそれに基づいて適切な表現で書かれたものであることを,科学的根拠を示して説明しなければならない。
2 前項の場合において,再実験等を必要とするときは,第19条第5項の定める保障を与えなければならない。

   第6章 不正行為等の認定
 (認定の手続)
第25条 調査委員会は,本調査を開始した日から起算して150日以内に調査した内容をまとめ,不正行為が行われたか否か,不正行為と認定された場合はその内容及び悪質性,不正行為に関与した者とその関与の度合,不正行為と認定された研究に係る論文等の各著書の当該論文等及び当該研究における役割,その他必要な事項を認定する。
2 前項に掲げる期間につき,150日以内に認定を行うことができない合理的な理由がある場合は,その理由及び認定の予定日を付して学長に申し出て,その承認を得るものとする。
3 調査委員会は,不正行為が行われなかったと認定される場合において,調査を通じて告発が悪意に基づくものであると判断したときは,併せて,その旨の認定を行うものとする。
4 前項の認定を行うに当たっては,告発者に弁明の機会を与えなければならない。
5 調査委員会は,第1項及び第3項に定める認定が終了したときは,直ちに,学長に報告しなければならない。
 (認定の方法)
第26条 調査委員会は,告発者から説明を受けるとともに,調査によって得られた物的・科学的証拠,証言,被告発者の自認等の諸証拠を総合的に判断して,不正行為か否かの認定を行うものとする。
2 調査委員会は,被告発者による自認を唯一の証拠として不正行為を認定することはできない。
3 調査委員会は,被告発者の説明その他の証拠によって,不正行為であるとの疑いを覆すことができないときは,不正行為と認定することができる。研究資料等その他関係書類の不存在等,本来存在するべき基本的な要素の不足により,被告発者が不正行為であるとの疑いを覆すに足る証拠を示せないときも,同様とする。
 (調査結果の通知及び報告)
第27条 学長は,速やかに,調査結果(認定を含む。)を告発者,被告発者及び被告発者以外で不正行為に関与したと認定された者に通知するものとする。被告発者が本学以外の機関に所属している場合は,その所属機関にも通知する。
2 学長は,前項の通知に加えて,調査結果を当該事案に係る資金配分機関及び関係省庁に報告するものとする。
3 学長は,悪意に基づく告発との認定があった場合において,告発者が本学以外の機関に所属しているときは,当該所属機関にも通知するものとする。
 (不服申立て)
第28条 不正行為が行われたものと認定された被告発者は,通知を受けた日から起算して14日以内に,調査委員会に対して不服申立てをすることができる。ただし,その期間内であっても,同一理由による不服申立てを繰り返すことはできない。
2 告発が悪意に基づくものと認定された告発者(被告発者の不服申立ての審議の段階で悪意に基づく告発と認定された者を含む。)は,その認定について,前項の規定により,不服申立てをすることができる。
3 不服申立ての審査は,調査委員会が行う。この場合において,学長は,新たに専門性を要する判断が必要となる場合は,委員の交代,若しくは追加,又は調査委員会に代えて他の者に審査をさせるものとする。ただし,調査委員会の構成の変更等を行う相当の理由がないと認められるときは,この限りでない。
4 前項に定める新たな委員は,第17条第2項及び第3項に準じて指名する。
5 調査委員会は,当該事案の再調査を行うまでもなく,不服申立てを却下すべきものと決定した場合には,直ちに,学長に報告する。報告を受けた学長は,不服申立人に対し,その決定を通知するものとする。その際,その不服申立てが当該事案の引き延ばしや認定に伴う各措置の先送りを主な目的とするものと調査委員会が判断した場合は,以後の不服申立てを受け付けないことを併せて通知するものとする。
6 調査委員会は,不服申立てに対して再調査を行う旨を決定した場合には,直ちに,学長に報告する。報告を受けた学長は,不服申立人に対し,その決定を通知するものとする。
7 学長は,被告発者から不服申立てがあったときは告発者に対して通知し,告発者から不服申立てがあったときは被告発者に対して通知するものとする。また,その事案に係る資金配分機関及び関係省庁に通知する。
 不服申立ての却下又は再調査開始の決定をしたときも同様とする。
 (再調査)
第29条 前条に基づく不服申立てについて,再調査を実施する決定をした場合には,調査委員会は,不服申立人に対し,先の調査結果を覆すに足るものと不服申立人が思料する資料の提出を求め,その他当該事案の速やかな解決に向けて,再調査に協力することを求めるものとする。
2 前項に定める不服申立人からの協力が得られない場合には,調査委員会は,再調査を行うことなく手続を打ち切ることができる。この場合において,調査委員会は,直ちに,学長に報告する。報告を受けた学長は,不服申立人に対し,その決定を通知するものとする。
3 調査委員会は,再調査を開始した場合には,その開始の日から起算して50日以内に,先の調査結果を覆すか否かを決定し,その結果を直ちに学長に報告するものとする。ただし,50日以内に調査結果を覆すか否かの決定ができない合理的な理由がある場合は,その理由及び決定予定日を付して学長に申し出て,その承認を得るものとする。
4 学長は,第2項又は第3項の報告に基づき,速やかに,再調査手続の結果を告発者,被告発者及び被告発者以外で不正行為に関与したと認定された者に通知するものとする。被告発者が本学以外の機関に所属している場合は,その所属機関にも通知する。また,当該事案に係る資金配分機関及び関係省庁に報告する。
 (調査結果の公表)
第30条 学長は,不正行為が行われたとの認定がなされた場合には,速やかに調査結果を公表するものとする。
2 前項の公表における公表内容は,不正行為に関与した者の氏名・所属,不正行為の内容,本学が公表時までに行った措置の内容,調査委員会委員の氏名・所属,調査の方法・手順等を含むものとする。
3 前項の規定にかかわらず,不正行為があったと認定された論文等が,告発がなされる前に取り下げられていたときは,当該不正行為に関与した者の氏名・所属を公表しないことができる。
4 不正行為が行われなかったとの認定がなされた場合には,原則として,調査結果は公表しない。ただし,調査事案が外部に漏洩していた場合又は論文等に故意によるものでない誤りがあった場合は,調査結果を公表するものとする。
5 前項ただし書きの公表における公表内容は,不正行為がなかったこと,論文等に故意によるものではない誤りがあったこと,被告発者の氏名・所属,調査委員会委員の氏名・所属,調査の方法・手順等を含むものとする。
6 学長は,悪意に基づく告発が行われたとの認定がなされた場合には,告発者の氏名・所属,悪意に基づく告発と認定した理由,調査委員会委員の氏名・所属,調査の方法・手順等を公表する。

   第7章 措置及び処分
 (本調査における一時的措置)
第31条 学長は,本調査を行うことを決定したときから調査委員会の調査結果の報告を受けるまでの間,被告発者に対して告発された研究費の一時的な支出停止等の必要な措置を講ずることができる。
2 学長は,資金配分機関から,被告発者の該当する研究費の支出停止等を命じられた場合には,それに応じた措置を講ずるものとする。
 (研究費の使用中止)
第32条 学長は,不正行為に関与したと認定された者,不正行為が認定された論文等の内容に責任を負う者として認定された者及び研究費の全部又は一部について使用上の責任を負う者として認定された者(以下「被認定者」という。)に対して,直ちに,研究費の使用中止を命ずるものとする。
 (論文等の取下げ等の勧告)
第33条 学長は,被認定者に対して,不正行為と認定された論文等の取下げ,訂正又はその他の措置を勧告するものとする。
2 被認定者は,前項の勧告を受けた日から起算して14日以内に勧告に応ずるか否かの意思表示を学長に行わなければならない。
3 学長は,被認定者が第1項の勧告に応じない場合は,その事実を公表するものとする。
 (措置の解除等)
第34条 学長は,不正行為が行われなかったものと認定された場合は,本調査に際してとった研究費の支出停止等の措置を解除するものとする。また,証拠保全の措置については,不服申立てがないまま申立期間が経過した後又は不服申立ての審査結果が確定した後,速やかに解除する。
2 学長は,不正行為を行わなかったものと認定された者の名誉を回復する措置及び不利益が生じないための措置を講ずるものとする。
 (処分)
第35条 学長は,本調査の結果,不正行為が行われたものと認定された場合は,当該不正行為に関与した者に対して,法令,就業規則その他関係諸規程に従って,処分を課すものとする。
2 学長は,前項の処分が課されたときは,該当する資金配分機関及び関係省庁に対して,その処分の内容等を通知する。
 (是正措置等)
第36条 学長は,本調査の結果,不正行為が行われたものと認定された場合には,公正委員会に対して,速やかに是正措置,再発防止措置その他必要な環境整備措置(以下「是正措置等」という。)の検討を指示す
 るものとする。
2 公正委員会は,前項の指示に基づき,その内容を学長に報告するものとする。
3 学長は,前項の報告に基づき,是正措置等をとるものとする。
4 学長は,第3項に基づいてとった是正措置等の内容を該当する配分機関並びに文部科学省その他の関係省庁に対して報告するものとする。

   第8章 その他
 (事務)
第37条 この規程に関する事務は,関係課等の協力を得て研究支援課において処理する。
 (雑則)
第38条 この規程に定めるもののほか,不正行為の防止及び対応に関し必要な事項は,別に定める。
   附 則
1 この規程は,平成27年4月1日から施行する。
2 この規程施行後,第5条第2項第4号の規定により最初に指名される委員の任期は,同条第4項の規定にかかわらず,平成28年3月31日までとする。
3 この規程の施行の日以前の予算における研究活動上(その研究結果をこの規程の施行の日以降に発表した場合も含む。)の不正行為に関する取扱いについては,なお従前の例による。
   附 則(平成28年3月25日規程第30号)
 この規程は,平成28年4月1日から施行する。
   附 則(平成29年1月12日規程第10号)
 この規程は,平成29年1月12日から施行する。
   附 則(平成29年1月18日規程第12号)
 この規程は,平成29年2月1日から施行する。
   附 則(2022年5月25日規程第3号)
 この規程は,2022年6月1日から施行する。