国立大学法人名古屋工業大学における研究費等の不正使用に係る調査の手続き等に関する取扱規程

(平成27年3月27日規程第39号)


 (目的)
第1条 この規程は,国立大学法人名古屋工業大学研究費等の運営及び管理に関する基本方針(平成27年3月27日制定)のもと,国立大学法人名古屋工業大学(以下「本学」という。)が管理する研究費等の不正使用に係る調査及び認定に関し必要な事項を定めるものとする。
 (定義)
第2条 この規程における用語の定義は,次の各号に定めるところによる。
 一 不正使用 公的研究費等の使用ルール,本学の規程及び法令等に違反した研究費等の不正な使用をいう。
 二 研究費等 運営費交付金,奨学寄附金,補助金,委託費等を財源として本学の責任において管理するすべての経費をいう。
 三 最高管理責任者 国立大学法人名古屋工業大学における研究費等の取扱いに関する規程(平成27年3月27日規程第38号。以下「研究費等取扱規程」という。)第4条に定める最高管理責任者をいう。
 四 統括管理責任者 研究費等取扱規程第5条に定める統括管理責任者をいう。
 五 研究者等 本学の役員及び職員,その他の本学の研究費等の運営及び管理に関わるすべての者をいう。
 六 関係機関 研究費等の資金配分機関,その他不正使用に関係する外部機関等をいう。
 (不正使用に対する告発又は通報)
第3条 何人も,不正使用の疑いを発見したときは,顕名によることを原則として,電話,FAX,電子メール,書面又は面談により,不正使用が疑われる研究者等(以下「被告発者」という。)の不正使用の態様等を通報,告発及び情報提供(以下「告発等」という。)することができる。
2 前項の告発等には,原則として,次の各号に定める事項を明示しなければならない。
 一 不正使用を行ったとする役職員等又はグループ等の氏名又は名称
 二 不正使用の具体的内容
 三 不正使用の科学的合理的根拠
3 第1項の告発等を受け付ける窓口は,監査室とする。
4 前項に定めるもののほか,国立大学法人名古屋工業大学における公益通報者の保護等に関する規程(2022年5月25日規程第2号。以下この項において「公益通報者保護規程」という。)第5条に規定する通報窓口においても受付けを行うものとする。この場合において,当該通報窓口は,公益通報者保護規程第7条第5項の規定に基づき,監査室に事案を移送するものとする。
5 監査室は,第1項の告発等を受けた場合は,統括管理責任者に報告する。
6 統括管理責任者は,告発等を受け付けたときは速やかに最高管理責任者である学長に報告する。
7 統括管理責任者は,告発等を受け付けないことを決定した場合は,その旨,理由を付して告発者に通知する。
8 監査室は,匿名による告発について,必要と認める場合には,統括管理責任者と協議の上,これを受け付けることができる。
9 報道又は外部機関等からの指摘等による場合,監査室及び統括管理責任者が自らの職務において知り得た場合も,第1項の告発等と同様に取扱うことができる。
 (調査の区分)
第4条 研究費等の不正使用に係る調査の手続きについては,前条に基づく告発等を受け付けた場合,予備調査及び本調査を行うものとする。
 (予備調査)
第5条 学長は,第3条第6項により不正使用が疑われる情報を知ったときは,速やかに統括管理責任者に予備調査を命ずる。
2 統括管理責任者は,次に掲げる者をもって予備調査を行うものとする。ただし,以下の構成については,当該告発等事案に利害関係を有しない者とする。
 一 統括管理責任者
 二 学長が指名する研究者等 若干名
3 予備調査は,不正使用の可能性の有無について当該告発等の信憑性,内容の合理性等を調査・確認のうえ本調査の要否を判定するものとし,統括管理責任者は,その結果を学長に報告するものとする。なお,予備調査に当たり,被告発者からの事情聴取を行うことができる。
4 学長は,前項の報告に基づき,本調査の要否について告発等の受付から30日以内に関係機関に報告するものとする。
5 学長は,第3項の規定に基づき,本調査を実施すると決定したときは,調査の実施を告発者に通知するものとし,実施しないことを決定したときは,理由を付してその旨を告発者に通知するものとする。
6 学長は,前項に定める通知を受けた告発者から当該調査の結果について不服の申出があったときは,必要に応じて予備調査について,再調査を求めることができる。
 (調査委員会の設置)
第6条 学長は,前条第3項により本調査の実施を決定した場合,速やかに国立大学法人名古屋工業大学不正使用調査委員会(以下「調査委員会」という。)を設置し,事実関係を調査させるものとする。
2 調査委員会の委員は次に掲げる者とし,当該告発等事案に利害関係を有しない者とする。
 一 学長が指名する理事又は副学長
 二 統括管理責任者
 三 学長が指名する法律等の知識を有する学外の者
 四 学長が指名する研究者等 若干名
3 調査委員会の委員長は,前項第一号により,指名された理事又は副学長をもって充てる。
4 学長は,第1項の規定により調査委員会を設置した時は,被告発者に,調査の対象となる事実の要旨,調査委員会委員の氏名・所属を通知するものとする。
 (異議申立)
第7条 被告発者は,前条第4項の通知の内容に異議があるときは,当該通知を受けた日から7日以内に学長に対し,書面により,異議申立をすることができる。
2 学長は,前項により異議申立があった場合は,必要と認めるときは,調査委員会委員を交代させ,又は再度の予備調査の実施を指示する。
3 学長は,前項の調査の結果及び調査委員会委員に交代があったときは当該交代に係る調査委員会委員の氏名・所属を,告発者及び被告発者に通知する。
 (本調査の実施)
第8条 調査委員会は,不正使用の有無,不正使用の内容,関与した者及びその関与の程度,不正使用の相当額等について調査するものとし,調査に当たっては,次の各号に掲げる事項を実施するものとする。なお,調査の実施に際し,調査方針,調査対象,調査方法等について関係機関に報告及び協議しなければならない。
 一 予備調査に係る報告資料の精査
 二 被告発者及びその関係者からの事情聴取
 三 収入・支出に関する帳票及び証憑類等,関係資料の調査
 四 支出の相手方業者等からの事情聴取
 五 その他必要な事項の調査等
2 調査委員会は,関係資料等の隠滅が行われるおそれのある場合には,関係資料等の保全を行うことができる。
3 本調査においては,被告発者に書面又は口頭により弁明の機会を与えなければならない。
4 本調査に係る関係資料等については調査委員会が保管し,調査に支障がある等,正当な理由がある場合を除き,関係機関の求めに応じ開示することができるものとする。
 (認定)
第9条 調査委員会は,不正使用の内容等について調査し,不正使用の有無について認定を行うものとする。
 (調査結果の報告及び通知)
第10条 調査委員会は,前条の認定を行ったときは,報告書を作成し,関連資料を添えて速やかに学長に報告しなければならない。
2 学長は,前項の報告を受けた後,認定結果を速やかに被告発者及び告発者に通知するものとする。
 (不服申し立て及び再調査)
第11条 被告発者は,第9条の認定結果に不服がある場合は,通知を受けた日から14日以内に学長に不服を申し立てることができる。ただし,同一理由による不服申し立てを繰り返すことはできない。
2 学長は,前項の不服申し立てがあったときは,調査委員会に対し不服申し立ての審査を求めるものとする。
3 調査委員会は,前項の求めを受け,不服申し立ての趣旨,理由等を勘案し,当該事案の再調査を行うか否かを決定するものとし,当該決定を学長に報告するものとする。
4 学長は,前項の報告に基づき,調査委員会が不服申し立てに係る事案の再調査を行う決定をしたときは,速やかに調査委員会に申し立てに基づく再調査を指示するとともに,被告発者及び告発者に通知するものとする。
5 調査委員会は,前項の再調査の指示があったときには,速やかに再調査を行い,不正使用の有無について再認定をし,その結果を学長に報告するものとする。
6 学長は,前項の報告を受けた後,判定結果を速やかに被告発者及び告発者に通知するものとする。
7 学長は,第3項において調査委員会が再調査を行わないと決定したときは,その理由を付して被告発者及び告発者に通知するものとする。
 (再調査結果の報告)
第12条 調査委員会は,前条第5項による再認定を行った場合は,最終報告書を作成し,関連資料を添えて速やかに学長に提出しなければならない。
2 学長は,前項の報告を受けた後,認定結果を速やかに被告発者及び告発者に通知するものとする。
 (関係機関への報告)
第13条 学長は,原則として告発等の受付から210日以内に,調査の結果,不正使用の発生要因,不正使用に関与した者が関わる調査対象制度以外の公的研究費の管理監査体制の状況,再発防止策等の必要事項を加えて関係機関に報告しなければならない。
2 学長は,調査の過程であっても,調査委員会において不正使用の事実が一部でも確認及び認定され報告を受けた場合には,関係機関へ報告しなければならない。
3 前2項に定めるもののほか,学長は,調査の終了前であっても,関係機関の求めに応じ,調査の進捗状況報告及び調査の中間報告を提出しなければならない。
 (措置)
第14条 学長は,前条による報告の結果,関係機関から不正使用に係る公的研究費の返還命令を受けたときは,被告発者に当該額を返還させるものとする。
2 学長は,研究費等の不正使用があった場合は,当該調査に係る研究費等の使用の中止を命ずるとともに,関係機関が定める措置のほか,就業規則その他関係規程等に従い必要な処分を行う。
3 学長は,不正使用の内容が私的流用である等,悪質性が高い場合は,必要に応じて法的措置を講ずるものとする。
 (不正使用が行われていなかったと判定された場合)
第15条 学長は,第10条第1項による報告に基づき,不正使用が認められなかったときは,必要に応じて被告発者及び告発者への不利益発生を防止するための措置を講ずるとともに,第8条第2項及び第17条に規定する措置を解除するものとする。
 (調査結果の公表)
第16条 学長は,第10条第1項及び第12条第1項の報告により,不正使用があったと認められたときは,合理的な理由のため不開示とする必要があると認めた場合を除き,速やかに調査結果等を公表するものとする。この場合において,公表する内容は,氏名を公表することを基本とするとともに,その他の情報についても特に不開示とする必要があると認められる場合を除き,公表するものとする。
2 学長は,調査事案が学外に漏洩していた場合及び社会的影響の大きい重大な事案の場合については,必要に応じて当該調査の途中であっても中間報告として公表することができるものとする。
 (調査中における一時的措置)
第17条 学長は,本調査を行うことが決まった後,調査委員会の調査結果の報告を受けるまでの間,告発等された研究費等の一部又は全部について執行を停止することができる。
 (守秘義務)
第18条 予備調査の実施者,調査委員会の委員,監査室の職員,その他この規程に基づき不正使用の調査等に携わったすべての者(以下「告発対応業務従事者」という。)は,その職務に関し知り得た情報を他に漏らしてはならない。その職を退いた後も,同様とする。
 (範囲外共有の禁止)
第19条 告発者及び調査協力者から得た情報は,告発者及び調査協力者が予め明示的に同意しない限り,当該告発に対応する告発対応業務従事者以外に共有してはならない。
2 学長は,範囲外共有(告発者を特定させる事項を必要最小限の範囲を超えて共有することをいう。)が行われた場合には,告発者に対して適切な救済及び回復のための措置を講じるとともに,当該行為を行った本学に所属するすべての者に対して,国立大学法人名古屋工業大学職員就業規則(平成16年4月1日制定。以下「就業規則」という。)その他関係諸規程に従って,懲戒処分その他適切な措置を講じなければならない。
 (調査への協力等)
第20条 予備調査の実施者及び調査委員会は,調査等の実施に関し,告発者,被告発者その他関係者に対し,必要な協力等を求めることができる。
2 前項の協力を求められた告発者,被告発者その他関係者は,誠実にこれに協力等をしなければならない。その職を退いた後も,同様とする。
3 予備調査及び本調査において,調査等にあたるすべての者は,被告発者,告発者,その他当該調査に協力した者の名誉及びプライバシー等が侵害されることのないよう十分配慮しなければならない。
 (匿名の告発者への対応)
第20条 第3条第6項,第5条第5項,第10条第2項,第11条第4項,同条第6項,同条第7項及び第12条第2項に規定する告発者への通知は,告発者が匿名の場合はこれを行わない。
 (告発者及び調査協力者の保護)
第22条 学長及び本学に所属するすべての者は,告発をしたこと,告発に係る事実関係の調査に協力したこと等を理由として,告発者及び調査協力者に対して解雇その他いかなる不利益な取扱いも行ってはならない。
2 学長並びに告発者及び調査協力者が所属する部署の長は,告発をしたこと,告発に係る事実関係の調査に協力したこと等を理由として,告発者及び調査協力者の職場環境が悪化することのないように,適切な措置を講じなければならない。
3 第1項に定める不利益な取扱いが行われた場合には,学長は,当該不利益な取扱いを受けた告発者及び調査協力者に対して適切な救済及び回復のための措置を講じるとともに,当該不利益な取扱いを行った本学に所属するすべての者に対して,就業規則その他関係諸規程に従って,懲戒処分その他適切な措置を講じなければならない。
 (告発者及び調査協力者の探索の禁止)
第23条 本学に所属するすべての者は,告発者及び調査協力者を特定しようとする行為(以下「告発者等の探索」という。)を行ってはならない。
2 学長は,告発者等の探索が行われた場合には,当該行為を行った本学に所属するすべての者に対して,就業規則その他関係諸規程に従って,懲戒処分その他適切な措置を講じなければならない。
 (被告発者の保護)
第24条 本学に所属するすべての者は,相当な理由なしに,単に告発等がなされたことのみをもって,当該被告発者に対して不利益な取扱いをしてはならない。
2 学長は,相当な理由なしに,被告発者に対して不利益な取扱いを行った者がいた場合は,就業規則その他関係諸規程に基づき,その者に対して処分を課すことができる。
3 学長は,相当な理由なしに,単に告発等がなされたことのみをもって,当該被告発者に対して研究活動の全面的な禁止,解雇その他いかなる不利益な措置等を行ってはならない。
 (悪意に基づく告発等)
第25条 何人も,悪意に基づく告発等を行ってはならない。この規程において,悪意に基づく告発等とは,被告発者を陥れるため又は被告発者の研究を妨害するため等,専ら被告発者に何らかの不利益を与えること又は被告発者が所属する組織等に不利益を与えることを目的とする告発等をいう。
2 学長は,悪意に基づく告発等であったことが判明した場合は,当該告発者の氏名の公表,懲戒処分,刑事告発その他必要な措置を講ずることができる。
3 学長は,前項の処分を講じた場合は,該当する資金配分機関及び関係省庁に対して,その措置の内容等を通知する。
 (調査の事務)
第26条 予備調査及び本調査に関する事務は,関係課等の協力を得て監査室において処理する。
 (雑則)
第27条 この規程で定めるもののほか,研究費等の不正使用への対応に関して必要な事項は,別に定める。
   附  則
 この規程は,平成27年3月27日から施行する。
   附 則(2022年5月25日規程第3号)
 この規程は,2022年6月1日から施行する。